幸い、地殻変動が垂直ではなく水平へ動いたので、震源の深さが2004年12月末のスマトラ沖大地震と同じ10キロだったにもかかわらず、大きな津波は起こらなかった、ということである。しかし、西スマトラ州やベンクル州では多数の建物が壊れ、多くの人々が建物の外で不安な日々をおくっている。
折りしも、12日の晩から断食月の夜の礼拝が始まり、地震はその最中の人々に降りかかってしまったのであった。「聖なる断食月に入るそのときに、なぜ神はこのような仕打ちを我々人間になさるのか」と多くの人々が祈ったはずである。
ジャカルタの邦人関係の方から状況確認の電話をいただいたが、筆者の住む南スラウェシ州マカッサルでは、この地震の揺れは全く感じなかった。ジャカルタは揺れたようなので、心配してくださったのだと思う。スラウェシ島は、真ん中から北および東では結構大きな地震が発生するが、南スラウェシ州のパレパレよりも南、マカッサル周辺ではこれまでに大きな地震が発生したという話を聞かない。地震が少ない場所としてはほかにカリマンタンがあるが、マカッサル周辺も地震が少ないところのようだ。
だから安心!といいたいところだが、逆にいうと、万が一、インドネシアの他の地域より確率はずっとずっと低いにしても、万が一、地震が起こったら、きっと何の準備もできてないマカッサルは大きな被害に見舞われることだろう。やはり、地震がほとんどないマカッサルでも、防災への備えをしておくに越したことはない。
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今回のスマトラ南部地震は、2004年のような大被害こそないようですが、現地では建物の倒壊などで多くの負傷者も出ているようです。折しも日本は、安倍首相辞任という政界大地震、はるかインドネシアの災害になど配慮する余裕もなさそう…。例によって、インドネシア国内情報はなかなか伝わってきませんが、ラマダンも始まった今、現地はどんな様子かと気にかかります。
今回のスマトラ南西部地震については、死者の数が少なく、カラ副大統領は「外国援助は不要」と述べました。メディアだけからなのでバイアスがあるかもしれませんが、全般的に落ち着いて対応している印象を受けます。日頃からの防災訓練がものを言う、ということを今回の経験からインドネシア国民が学んでくれることを願っています。