2007年06月09日

穏やかなアンボン

今週は、6月3〜5日にアンボン、7〜8日にジャヤプラへ出張した。仕事上の打ち合わせで、それぞれの大学の先生に会ってきた。その合間に、アンボンでは町の様子を見てきた。

アンボンへ来るのは1998年以来9年ぶりである。そのあと、1999年1月から数年にわたって住民間の抗争が続いた。日本を含め、多くの国ではまだ正式には渡航を奨励していない場所である。9年前とどんなふうに様子が変わっているのか、興味と不安が入り混じりながら、アンボンをベチャに乗って歩いてみた。そして、9年前に感じたような穏やかなアンボンが確実に復活してきている様子を確認することができた。もちろん、身に危険を感じるようなことは全くなかったことを付け加える。

その様子を、何枚かの写真で紹介する。

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バトゥメラ市場で愛嬌を振りまく女性商人たち


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魚の燻製を売る女性たち。棒の先に布切れをつけた小さな箒のようなものでハエを追い払う。このスタイルは北スラウェシでも同じだ。

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住民抗争の発火点となったマルディカ地区とバトゥメラ地区の間にかかる橋の上で商売をする商人たち。海岸沿いのこの道路には無数の商人が路上に商品を広げて商売していた。

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マルディカ市場近くのEU等の援助で設置されたゴミ収集場所の近くではしゃぐ子どもたち。アンボンの街中のゴミ処理は大きな問題になっているように見えた。

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マルディカ市場でドミノ・カードに興じる男たち。

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マルディカ市場の内部。抗争で破壊されたが、アンボンへ戻ってきたスラウェシ出身の商人たち(ブトン人、ブギス人、マカッサル人)がまだそのなかに住んでいる。立替が計画中とのこと。彼らは頭文字を取ってBBMと呼ばれ、アンボン人からは抗争拡大の原因を作ったと見なされているが、BBMの多くもまたアンボンで生まれ育った2世、3世なのである。

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川を挟んで向かって左側がバトゥメラ地区、右側がマルディカ地区。住民抗争は両地区の住民同士のケンカが発端だったということだが、前者に比較的キリスト教徒が多く、後者に比較的イスラム教徒が多かったため、宗教対立の色合いが濃くなってしまった。実際には、前者にもイスラム教徒は居住しているし、後者にもキリスト教徒が居住しているので、完全に宗教別に住み分けられているわけではないとのことだ。

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地元のパッティムラ大学の先生の言葉を借りれば、住民自身があの経験から学んで「賢くなった」ということであった。あの抗争の最中でも、宗教の異なる住民どおしの親交を取り戻す努力は営々として続けられていたそうだ。少なくとも、住民レベルでは真剣に和平への努力が続けられた。しかし、地元の政治勢力や外部者が自分たちの利害から抗争を利用しようとし続けた。少なくとも、地元の住民たちからはそう見えたということである。

アンボンは今、そのイメージ・アップのために頑張ろうとしている。空港も国際空港化して新しくなり、国際線の就航も期待している。まだまだ抗争前のような生活を取り戻すのは難しいが、二度とあのような抗争は起こすまい、外部者の扇動に乗るまい、という雰囲気が「賢くなった」住民の姿からうかがえた。

「たくさんの観光客に来てもらいたい。そのためにアンボン市民はイメージ・アップに日々努めている」というパッティムラ大学の友人の言葉を、このブログを読んでくださる読者の皆さんにも伝えたい。

posted by daeng at 08:55| Comment(6) | TrackBack(0) | その他インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

インドネシアのダイビングが好きで検索していてHPを見せていただきました。

アンボン、大丈夫そうですね。でもなかなかダイビング・ショップとコンタクトが取れなくて・・・。行かれるのがわかっていればダイビング・ショップのチェックをお願いしてしまいたかったくらいです(笑)。マルクやイリアンはどうもリゾートの物価が高いようで数もなく、だからみんなクルーズで潜るんだね・・・と思わざるを得ない状況です。来月末から1ヶ月ほどインドネシアに滞在するので安く泊まれてキレイな海を探し中です。スラウェシもブナケン、シラデン、レンベ、トギアンは行ったのでマカッサル近辺の島も興味深々!HP隅々まで見せて頂きますね♪
Posted by yayoi at 2007年06月09日 12:16
yayoi様、ようこそ私のブログへ。アンボンでもダイビング客を待ち望んでいる様子でしたよ。私の泊まったホテルにもダイビングをしにきたと思われる白人観光客がいました。

私はダイビングはしませんが、スラウェシ周辺の海もきれいなところが満載です。そして、あまり知られていないところも色々あるようです。是非、スラウェシの海で楽しんでください(機会があれば是非マカッサルにもお寄りください)。
Posted by daengkm at 2007年06月09日 15:50
コメントありがとうございます。

えっ!アンボンにもダイバーいました???
それはたいへん嬉しい情報です。
じゃあ、現地に行けば何とかなるんですかねぇ?
現地のダイビング・ショップがコンタクトが取れず(しかも1件しかヒットしない)飛んで行って潜れなかったら嫌だなーと思い考えていたのです。これはありがたい情報がGetできて嬉しいです。もし問題なければ宿泊したホテルの名前と料金も教えて頂けたら助かります。
Posted by yayoi at 2007年06月10日 02:21
彼らがダイビング客かどうかは確認していませんので、ダイバーがいたということになるかどうかは分かりません。

ともかく、私の宿泊したHotel Manise (Tel: +62-911-354144)に連絡されてみてください。ちなみに1泊40万ルピア++(朝食込み)、ロビーで無線インターネット可(1時間15万ルピア)でした。
Posted by daengkm at 2007年06月10日 18:29
ありがとうございました!

どうもアンボンは日本の冬〜春がシーズンのようでショップも9月にならないとオープンしないらしいです。また2月か3月にトライしてみます。

ではさて・・・来月末からの1ヶ月は・・・?
カリマンタンもフローレスも気になるしまた悩みが増えそう!
Posted by yayoi at 2007年06月12日 01:42
2000年にアンボンに行ったことがある者です!
今のアンボンが気になっていました。
写真を拝見して、穏やかな日常が戻ってきている様子を知り、安心しました。

もし他の写真もあるようでしたら、ぜひぜひアップしてください。
よろしくお願いいたします。
Posted by kakak at 2007年08月10日 15:14
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