それだけではない。GIAはあらかじめ、予約システム上で定員+2名で予約を受け付けているのだ。つまり、2名分は常にオーバーブッキング状態になっているということである。チケットはOKでも、実際に搭乗できない客が常に2名発生するのである。実は今回、私がその2名のなかに入ってしまい、出張を中止せざるを得なくなった。
マカッサル・ハサヌディン空港に着き、GIAのカウンターに向かったが、カウンターには誰もおらず、「終了」の指示板が置かれていた。出発1時間前だというのに。「GIAのカスタマーサービスへ行け」というので行ってみると、「あなたは搭乗できない」と言われた。理由は、前述の通り。チケットOKの2名が搭乗できないのだ。私の場合、予約時に座席指定までしたというのに。
10年ぐらい前までのGIAだと、「お前が遅く空港に来たのが悪い。2時間前までに来るべきだった」とか、「出発前にコンファームしなかったお前が悪い」とか、さんざんに言われ、お客が悪者にされるのが常だった。
さすがに、今回はそんなことはなかった。予約システムで最初から2名分のダブル・ブッキングを前提としていること、お客は何も悪くないこと、を係員は繰り返した。そして、乗客のなかで席を譲ってくれる人を探したり、スチュワーデスの座る席に乗れないかとパイロットに交渉したり、ほぼ同じ時刻に同じ行く先へ飛ぶ他社機に振り替えの可能性を打診したり、と、出発自国の直前まで何とか搭乗できないかと懸命に動いてくれた。
一時は「搭乗してよい」との情報が流れた。すぐに係員が私を連れて搭乗口へ走り出す。しかし、搭乗口まで来たとき、「やっぱりダメ」との最終判断がパイロットから下された。
GIAのカスタマーサービスの部屋に戻ると、軍人風の男が2名いた。軍高官の付き人で、やはり搭乗できなかったという。軍高官が付き人なしで出張することは、インドネシアでは稀である。どうやら、ギリギリになってこの軍高官が(いつものように)GIAへ座席を要求、GIAが「満席だ」と言っても搭乗をゴリ押ししたらしい。そのとばっちりが私に来た形だ。
航空機事故の頻発で、格安航空会社の便を人々は敬遠し始めている。そして、かつての福岡空港での事故が日本人の記憶に残るあのGIAが、労せずに「国内では最も信頼できる航空会社」として、乗客を集め始めている。しかし、そのGIAで、「チケットOK、座席指定済み」でも搭乗できる保証はない、いうことだとすると、一体、インドネシア国内で確実に飛行機に乗れるのだろうか。少なくとも、大都市在住の場合、どんなに多忙でも、出発の半日前までにGIAのオフィスへ出向き、シティー・チェックインを必ずする、といった自衛策をとる必要があるだろう。
それにしても、インドネシアの航空事情はあまりにも悲惨だ。こうした状況下で、我々は、選択肢のない、不確実性の大きいなかで、飛行機を使わざるを得ない。GIAは殿様商売でも客が来る状態、客が離れるのが怖い格安航空会社は格安路線を放棄できない。とても低レベルの話で、各社が抜本的なサービス改善を行うインセンティブに乏しい。
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インドネシアの旅客機の発着時間の遅れは昔から悪く、午後から夜間に出発する便の遅れが1時間2時間は当たり前のようでした。それが最近更にひどくなったように思われます。先日、妻の友人がスラバヤへ帰るため我々がマカッサル・ハサヌディン空港へ送っていったのですが、午後3時出発予定が午後8時に変更したとの事で、またマカッサルへ戻って時間をつぶしました。
その数日前には、突然旅客機が飛行をキャンセルされ、一人の白人が怒り来るって大騒ぎをしていたそうです。
私も旅客機を利用するものとして、とても他人事とは思えません。大事な商用やプライベートなことにしてもその飛行機の遅れやキャンセルのよって、スケジュールがすべて台無しのなることも考えられます。
とは言っても、飛行前には充分な点検をしてもらい、不審な点がある場合は当然修理またはキャンセルしてもらわなければなりませんけどね。
とにかく各航空会社に望むことは、格安航空券で客の収益を得るのはよいことだと思いますが、利益よりも安全を最優先させる事が大前提です。
ダラダラと長くなり失礼しました。
最後に一言、昨日のテレビニュースで見たのですがアダムエアー側が遺族に支払う金額は一人当たり、5百万ルピアだそうです。