我が家、というか最近は"Komunitas Ininnawa"と皆で自称しているのだが、ここでは、仲間同士の詩の朗読と、ゴア県スングミナサの楽団「ラ・サバラ」(La' Sa'bara)を招いたマカッサルの伝統楽器の演奏で年を越した。
我が家に集まる若者のなかには、「詩人」がたくさんいる。Kompasなどの有力紙の文芸欄に掲載されたり、地元のラジオ局で自ら詩を朗読したりするセミプロまでいる。恥ずかしながら、私も生まれて初めてインドネシア語で詩を作って朗読してみた。わずか10分でエイッと作ってしまった、味も素っ気もない詩ではあったが・・・(興味のある方はインドネシア語ブログをみて欲しい)。
「ラ・サバラ」(落ち着いた人、の意味)の演奏はなかなかよかった。若者たちがマカッサルの伝統音楽を守っている、という感じだった。演奏の様子をちょっとだけのぞいてみて欲しい。
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彼が使っている楽器が興味深い。
これはワウア(Wawua)。弦と太鼓が一体になっている。弦は1弦。実は、彼らの友人が考えて昨年作った新しい楽器。
いわずと知れたケチャピ(Kecapi Makassar)。マカッサル語ではカチャピン(Kacaping)という。写真にあるケチャピの素材はジャックフルーツの木だが、キンコウボク(cempaka)やクムニン(kumning)という名の木を使うのが最上級とか。弦は2弦。マカッサルのケチャピとブギスのケチャピは形が異なる。
これはレバウア(rebaua)と呼ばれるタンバリン。鈴のついているのとないのとがある。ヤギの皮を張ってある。モスクでよく使われている楽器。
ちょっと写真がピンボケだが、ギリン・ギリン(giring-giring)というパーカッション楽器。カロア(karoa)という木の実をつけた素朴なもの。
これはまさに「ほら貝」。フル(flu)という。黒い貝ではなく、色をつけている。
左手と右手とで叩くグンダン(gundang)と呼ばれる太鼓。これはマカッサルのグンダンで、ブギスのものとは大きさや形状が違う。写真のグンダンの上部が左側、下部が右側になる。左側にはオスのヤギの皮が張られ、右側にはメスのヤギの皮が張られる。左側のほうが高音。
プイプイ(pui-pui)と呼ばれるラッパ。左側の小さい赤いのがマカッサルのプイプイで、表穴が6つ、裏穴が1つ。右側の大きいのはスラヤールのプイプイで、表穴が5つ、裏穴が1つ。いずれも、吹き口の部分にはロンタラ椰子の皮がつけられている。
彼らの中には、ブギス・マカッサルの祖先が船で渡ったといわれる南アフリカのケープタウンへ行って、演奏した者がいる。いろいろ聞いてみると、マダガスカルの音楽グループTarikaが1997年にマカッサルへ来たとき、「叔父さんの家に来た」という者もいた。TarikaはSoul Makassarというアルバムを発表し、そのなかで、自分たちの先祖の出身地であるマカッサルを訪れた、聞こえてくるインドネシア・ポップがどれも同じようで安っぽく聞こえた、インドネシアももっと自分たちの土着の音楽をうまく取り入れていくべき、などの感想を述べている。
ちょうど年越しのとき、家中にグンダンの音が鳴り響き続け、今までに感じたことがないような雰囲気で2007年に突入した。そして、少しばかりだが、来訪者に年越しそばを振舞った。外は雨が降るなか、詩の朗読と伝統音楽の演奏と年越しそばの組み合わせで、マカッサルの我が家の2007年が始まった。
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