以前、マカッサルに赴任したとき、「内陸部の住宅は乾期は水がなく、雨期は洪水になるので止めたほうがよい」といわれ、海岸から歩いて5分の家に住んだ。それでも乾期には水が止まり、井戸水でしのぐことがたびたびだった。
当時、「ビリビリダムができれば、乾期の水不足は解消される」という話もあり、状況は改善するだろうと期待していたが、ダムはできても、市内の水道管網の改善はダム建設と一体には行われなかった(縦割り行政の弊害)ので、結局、今も乾期の水不足は深刻な状態にある。
今回は、旧市街から車で30分ほど内陸のハサヌディン大学の近くに住んでいる。そして、やはり水は止まるのである。
先週、市水道局は、渇水のため給水量を減らし、地域ごとに時間を区切って給水すると発表した。でも、その発表の前から毎日一定時間の間、水は全く出なかった。最初は家の揚水ポンプの問題かと考えたが、市水道局から水が来ないのだった。そして市水道局の発表の後、水の止まる時間が大幅に長くなった。水の出る時間のほうがずっと短くなったのである。
たとえば、10月6日は朝9時に水が出なくなり、7日の午前1時過ぎになって水がチョロチョロと出始めた。それも午前4時過ぎには水が出なくなって、7日のお昼過ぎから水が出始めた。
筆者は、60リットル入るポリ製の水桶を浴室に置き、水が出始めたらすぐに水をためることにした。お手伝いのところは、家主が水道管を一つ減らした関係で全く水が出ず、外の蛇口からホースを引っ張ってカマル・マンディの水溜めに溜めている。このように、いつ水が出るかに注意を払い、出たら水を溜めるのが日課となった。
それでもこの家は周りの家々に比べればよいほうなのだ。家主によれば、とある理由でこの家には専用の水道管が引かれており、周りの家々で水が出なくてもこの家では水が出ることがある、というのだ。
この話を東京の妻に話したら、「あら、パナクカン・マスのスポーツセンターへ水泳に行けばいいのよ。石鹸とシャンプーを持って。シャワーのときに体を洗うの。水が出ないときはみんなそうしてたわよ」と事も無げに言われた。
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