地元紙の大分合同新聞に「おかんの店」の記事が掲載されました(こちらをご覧ください)。
「おかんの店」を立ち上げた尾永井婦人部の皆さん
婦人部で旅行に出かけたときに、自分たちのこれからのことに話が及び、老後を考えて、何か自分たちでやろうということになったのだそうです。そこで、野菜や果物を植えてとりたてを販売したり、お菓子を作ってみたり、手工芸品を作ってみたりして、楽しみながらみんなで老後へ向けて自立したい、という思いのようでした。
実際には、天候などの具合で、たとえば旬の野菜であるナスが集まらなかったり、などいろいろ簡単にはいかない様子ですが、儲けるためというよりも自分たちのこれからの生きがいづくりにこの「おかんの店」を役立てていこうとしている様子でした。
大分県は全国でも最も農産物直売所が盛んな県の一つで、しかも、運営母体は農協だけでなく、こうした地元の民間の女性たちが自発的に運営する事例が多いことでも知られています。東北をくまなく歩いておられる民俗研究者の結城登美雄さんは、農産物直売所で月に3万円ぐらいの「お小遣い」が稼げれば十分で、後は地元の人々がそうした場から生きがいや幸福感をを得ることが大事なことだ、という旨のことを以前講演でおっしゃっていましたが、全国で増え続けるそんな農産物直売所の新顔として「おかんの店」が加わったのだなと思いました。
インドネシアではよく、「俺たちは貧しくて可愛そうなのだから、あんたたちは買わなければいけない」となかば脅しに近い形で農産物や土産物を売りつけられそうになることがあります。生活の困窮度が違うといえばそれまでですが、40〜50年前の日本にもこうした光景があったのではないかと思います。この40〜50年の間に起こった物事のプロセスを踏まえることなしに、農産物直売所の経験をそのままインドネシアへ適用するのは難しいと改めて感じました。
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