最も被害の大きかったのは、西ジャワ州チアミス県のパガンダラン海岸で、ここは国内外のサーファーにとって有名な場所であり、昔からインド洋側の有名な地元観光地でした。ヒッピー風の外国人の溜まり場としても知られています。
パガンダランを挟んで、西の西ジャワ州スカブミ県南岸から中ジャワ州チラチャップ県、同州クブメン県、ジョグジャカルタ特別州バントゥル県およびグヌンキドゥル県に至る南岸で、津波による死者が出ました。
残念ながら、今回、津波に対する警戒が少なかったようです。それは、過去の経験からの判断に誤りがあったということです。すなわち、今回、陸地では揺れがあまり大きくなかった。過去にはもっと大きい揺れを感じる地震を経験したが、そのときには津波は起こらなかった。今回はそのときよりも揺れが少なかったので、津波はきっと起こらないだろう、と。
先のジョグジャの地震のように、陸地を震源とする地震では揺れは大きいが津波は起こりません。しかし、海を震源とする地震では、陸地部での揺れが小さくとも、津波が起こる可能性が高い。テレビやラジオで、少なくとも震源がどこで、津波が起こる可能性があるかどうかぐらいを、地震発生後すぐに報じる仕組みを緊急に作る必要があると考えます。
驚くべきことに、首都ジャカルタにあるインドネシアの気象庁も、その根拠は分かりませんが、津波は起こらないと判断していた様子です。ジャカルタで揺れを感じたといっても、人によっては「大したことはない」と思っていた様子で、西ジャワ州南岸の惨事に思いを馳せる人は実はあまり多くなかったのかもしれません。アチェの場合と同様、インドネシアでの報道は、デティック・コムなどを除いて初動が遅く、日本では朝日新聞やNHKが速報を流していました。ジョグジャ地震のときとの差を感じました。
ジョグジャ地震のときとの差という面では、ユドヨノ大統領が現地視察を躊躇していることが19日早朝時点で報道されています。ジョグジャ地震の際にすぐに現地入りしたものの、指揮を十分に執れず、人気低迷に拍車をかけたことがあると思います。
こうした、一連の災害に対する政府やマスコミの関心の度合いや対応の違いを、インドネシア各地の人々はどのようにみているのでしょうか。今回の地震・津波について、何らかの募金活動等を行うべきかどうか、考えている時点で、すでにアチェやジョグジャのときとの温度差があるということになってしまうのかもしれません。
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