もっとも、バイオディーゼル精製がコミュニティ・レベルで地道に広がっていくことが望まれます。インドネシアは一般に食用油を使って揚げたり焼いたりしたものを食べているので、小さな村でもけっこうな量の食用油を日常生活で使っているのです。
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じゃかるた新聞
2005年12月12日付
バイオディーゼルを発売
エテリンド・ワハナタマ社
代替燃料利用に弾み
数十社が試験導入
インドネシアの化学企業エテリンド・ワハナタマ社が、民間企業として国内で初めて、パーム油を原料としたバイオディーゼル「FAME818」の販売を始めた。バイオディーゼルは植物油や動物性油脂から作り出すディーゼル燃料で、通常のディーゼル燃料と比べて性能的に遜色(そんしょく)がない上、環境に優しいことから、世界的に注目を集めている。インドネシアでも、石油燃料価格の高騰や大気汚染問題の高まりを受けて、バイオディーゼルは脚光を浴びており、九月の発売開始以来、同社に問い合わせが殺到している。
エテリンド・ワハナタマ社の販売部門エターナル・ブアナ・ケミカル・インダストリーズ社のダルマ・ステジョ・マーケティング部長は「燃料問題が深刻化する日が必ず来ると考えていた」と語り、二〇〇二年からシンガポールの企業の技術協力の元にインドネシアに豊富にあるパーム油を原料にしたバイオディーゼルの開発を開始した。
同社が予測した通り、インドネシアでは経済発展に伴い、燃料の需要も急増。 〇四年には原油の純輸入国に転落し、追い打ちをかけるように今年、原油の国際価格が急騰した。
七月には供給量が不足し、石油危機が起こったり、価格上昇に耐えられなくなった政府が石油燃料値上げを決定。庶民の生活から企業活動にまで大きな影響を与えており、代替燃料の開発は重要な課題になった。
同社は東ジャワ州グレシックとバンテン州タンゲランの工場で年五万トンの生産能力を確保。九月、販売を開始した。
ディーゼル燃料を大量に使用するボイラーや発電機を使用する企業から「試験的に購入したい」という問い合わせが相次いだ。
そのうちの一社、ディーゼルエンジンのオーバーホールなどを行うホリグチ・エンジニアリング・インドネシア社の木村幸夫マーケティング・マネジャーは「日本製のディーゼル自動車で使用実験をしたが、煙が少なく、悪臭もない。エンジンの音もスムースになったようだ」とFAME818を高く評価する。
環境面でも、残留炭素が〇・〇五%など先進国の環境基準を満たす水準だという。
ステジョ販売部長は「シンガポールの企業も含めて、多くの企業から問い合わせを受けている。通常のディーゼル燃料と比べても、競争力のある価格で提供したい」と語った。
ステジョ販売部長によると、現在の課題は流動点(石油製品が一定の条件で流動しなくなる温度)が摂氏十八度と高いこと。
「熱帯のインドネシアでは問題ないが、日本や米国、欧州などに輸出をするためには、流動点を下げる必要がある」と今後の改良に意欲を見せた。
科学技術応用評価庁(BPPT)も代替燃料の開発を行っており、キャッサバから製造したバイオディーゼルを一〇%混合した「BE10」を同庁の公用車に利用するなどして、利用促進をアピールしている。
FAME818に関する問い合わせは、エターナル・ブアナ・ケミカル・インダストリーズ社(電話六三三・二七一八)、ホリグチ・エンジニアリング・インドネシア社の木村さん(電話八九〇・一六一二)まで。
PT Eternal Buana Chemical Industries:
http://www.eterindo.com/ebci/index.html
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日本でも、食用油の廃油を利用したバイオディーゼルへの取り組みが行われており、すでに京都市バスはバイオディーゼルを利用しています。
11月に訪問した長野県信濃大町市では、NPO地域づくり工房が世話役となって、休耕地での菜の花栽培と食用油生産、その廃油のバイオディーゼル利用というリサイクルを作っていくための「菜の花プロジェクト」が行われています。
NPO地域づくり工房:
http://www.jakartashimbun.com/top.shtml
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