いずれ必ず訪れる日だった。スハルトが大統領の座を降りてから今年で10年が経とうとしている。スハルト時代はもう終わったはずだが、いろいろな意味で、あの時代にノスタルジーを感じる人々は少なくなかった。
そして、スハルトの容体を見ながら、「スハルトの過去の罪を許すべきだ」と主張した人々のなかには、「死を迎える人に鞭を与えるべきでない」という人間的な理由から進言した人々以外に、スハルトの死とともに「スハルトに追随した自分の過去の罪も一緒に流してしまいたい」と心のなかで願った人々も少なくなかったのだと思う。
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